白井晟一「原爆堂計画 パンフレット」 1954-1955
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『原爆堂について』 白井晟一
TEMPLE ATOMIC CATASTROPHES は1954年からの計画である。私ははじめ不毛の 曠野(=広野)にたつ
愴然たる堂のイメージを逐(=追)っていた。残虐の記憶、荒蕪な廃墟の聯(=連)想からであろう、だが構想を
重ねてゆくうちに畢竟は説話的なこのような考え方をでて自分に与えられた構想力の、アプリオリな可能性だけをおいつめてゆくよりないと思うようになった。概念や典型の偏執から自由になることはそのころの自分にとって難しい、
大きい作業であったが、悲劇のメモリィを定着する譬(=比)喩としてではなく、永続的な共存期待の象徴をのぞむ
には、貧しくともまず、かつて人々の眼前に表れたことのない造型のピュリティがなにより大切だと考えたからにちがいない。堂は直径九米(=9m)程の円筒が、眼にみえぬほど静かに流れる透明な水の中から、1辺23米の方錐を貫通するという形をとった。そして軸のシリンダァと梁と壁をいくつかのキャストに分け、これを求心的に風呂桶の箍(=たが)で引締めてゆくといった工法を、力学の最も原理的で素樸(=素朴)な方程式で追求してゆくことであった。 ―― 初出は「新建築」
1955.4月号
( )内に現代用語を付記しました. 文中 「方錐」は「方柱」に修正されるべきであろう.
『親和銀行本店』
(前文略)
発想はながく私の郷愁だとされている1955年頃の原爆堂計画だと指摘する人もある。事実オクタゴナル半分の塊りを変形半円筒で打ち抜いたかたちは原爆堂のプロフィルが原型だといわれても、誰も私もまたさからわないだろう。 (以下略)
―― 初出「建築雑誌」 1969.8月号
「秋田の人々は雪をおそれている。・・・1950年の秋、
村の民家にモチイフを得て、その年の初冬から51年の春、
木の芽の萌える頃まで橇にのり、ゴム靴をはいて、この労作に通った。
・・・(中略)やがてはその風土自然に導かれるような,ほのぼのとした建物が
民衆を目標として・・・(中略) この地方の人々の将来にとってその希望をしめす
ささやかな道標ともなり得るならば望外のよろこびである。」
―― 「無窓」第1話 研究会会誌「景窓3」より
数年来、その特異なデザインは、一体どこから考案されたのかという質問が多かった。
白井晟一の初期作品「秋の宮村役場」について研究したときから、その地域の歴史的建造物や伝統を調べ、影響を受けていることに気付く。決して、構造上の理論が先にあったわけではない。
証明すべく、広島に降り立った。
1945年8月6日の広島被爆の3日後に、丸木位里・俊夫妻は、太田川畔の
実家の安否を訪ねて、惨状を目撃し、救援活動に従事、1955年に
「原爆の図」(1.8m×7.2m、14点収蔵。もう1点は長崎で収蔵)を発表した。
白井晟一はこの話に感銘を受けて設計に当ったというが、「残虐な記憶」を
蘇らせるよりも、水を求めて喘ぎながら息絶えた人々に十分な水を与えて
あげたい、或いは水中に避難していたら助かったかも知れない、さらに今後もし
惨事が起こった時の避難場所になるかも知れないという、慰霊の念を込めた
ものだろう。美術館というよりは、寧ろ「祈りの聖堂」に近いもので、それ故
MUSEUM、MEMORIAL ではなくて TEMPLE なのである。つまり、二度と
起こしてはならない 、と強く訴える表現力に欠けている。
広島と言えば日本三景の一、厳島(宮島)が思い浮かぶ。
!st floor plan basement plan
COMPOSITION
1.temple 2.museum
3.open stage
4.limpid pond
5.top light
6.ballast court
7.green
8.fire tower
大鳥居
「TEMPLE ATOMIC CATASTOROPHS」
「1955 August」
と記載されている
TEMPLE
ATOMIC
CATAST
OROPHS
!st floor plan
1. approach アプローチ
2. loggia 開廊、ロジア
3. stair 階段
4. information 案内所
5. cloak(room) クローク,,手荷物一時預かり所
6. library 資料閲覧室
7. drawing (room) 客間
8. ante(room) 控室
9. bureau 事務室
10.director & reception 所長室+応接室11.store 収蔵庫
12.balcony バルコニー
13. lobby ロビー
14. gallery ギャラリ− 、展示室
15. store space 備品置き場
20. stairdrum 円筒形(シリンダー)階段室
21. clarte passage 光廊
22. gallery ギャラリ− 、展示室
23. glass case 展示用ガラスケース
24. balcony バルコニー
basement plan
16. sub-hall 地下ホール
17. electric 電気室
18. service 設備室
19. sub-way 地下道
20. stairdrum 円筒形(シリンダー)階段室
英文 ( )内と日本語訳を、研究会が付記しました
白井晟一のデザイン発想
表紙
「羽後病院の図面」
白井晟一研究会所蔵・丸臣高久建設の協力で2006年2月に発見
photo by 白井晟一研究会
2008. 7月
Seiiti Sirai's Design Concept
temple subway museum
(C)白井晟一研究会 All rights reserved.
2010.11.22.Last update 2010.5.30. Start
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嚴島神社
Temple Atomic Catastrophes' Project